ふくしまマイスター 第7回「手づくりせっけんマイスター」
マイスター特集 第7回
『手づくりせっけん』マイスター
岡野和子(おかのかずこ)さん (プリマリア代表)
★プリマリアのせっけん★
岡野さんの運営する「プリマリア」のせっけんは、玄米の新鮮な胚芽と米ぬかから生まれた国産こめ油でできています。さらに、そのこめ油と組み合わされる自然素材もまた、信頼のおける生産者さんのものが中心で、厳選された安心できる素材を使っています。また、生分解性(物質が微生物によって分解される性質)があり、使用後24時間で水と二酸化炭素に分解され、自然に還っていくので、お肌だけではなく、環境にもやさしいのです。
◆環境を変える、まずは一歩。
せっけんづくりを始めたきっかけは、友人が趣味でやっていて、私は当時ブライダルの仕事をしてたので、自分の担当の方にそのせっけんを差し上げたり、プチギフトに使って頂いたりして、「すごくよかった!」って言って頂けたので、それをその友人に伝えて、いろいろ聞いてみたら、あ、いいな!ってことで。
その時、30年弱くらいブライダルの仕事を続けて来て、限界を感じたりしてて…。あと、若いカップルを送り出して、このカップルの子供達ってどういう環境で生きてくんだろうって不安があって、そんな時、その友人から手づくりせっけんの良さを教えられて私も使うようになったし、お肌の弱い方なんかは本当にいいって言って頂けるし。でもなんていうか…使っていくことも大事なんだけど、使うことで環境にも不可をかけてないってことで、心的にもほっとするようなとこがあったんで。確かに、自分たちが使うことでそんなに水環境とかが変わるわけではないかもしれないけれど、まずは一歩ですよね。
◆福島県民が、一番健康!
お陰様で、酒粕せっけんが福島県の特産品コンクールで優秀賞を頂きまして、それがきっかけで、震災後に物産展に参加した時に、やっぱり「福島県のものね…」って言われることはあったんです。でもその時にお客様にお話ししたのは、まじめに作ってらっしゃる方は皆さん、しっかり(放射能の)検査もしてる。だから正直言えば、福島のものが日本で一番安心なものだと思ってます!ってこと。ダメな方は何をお話ししてもダメなんですけど…でも、しっかり聞いて下さる方は、「あ、そうなんだ!?」って。特に、福島のお母さん達は本当に素晴らしいですよって。本当に今まで環境や産地なんかに関心がなかった方も、子供のためにっていろいろ勉強なさって、食べ物もそうですし、水環境にしても、しっかり意識改革できてると思いますよって。ですから、福島の子が1番健康に育つんじゃないですか?って(笑)。
◆どういう風に、生きるか。
これはよく言うんですけど、生き方…どういう風に生きるかっていう生き方の問題だから、いい悪いは言えない。私達の生き方が絶対に正しいっては言えないけど、でも、自信を持ってすすめられる生き方だとは思います。どうしても熱くなると相手を否定したくなるのよね(笑)。特にこういう仕事してると。でもそれでは相手に響かないのよね。やっぱり、その方その方なりの考え方で今まで生きて来た過程があるわけだから、それを否定するような言い方をしたら通じていかないなってのがあったので。それは私自身もすごく勉強になりましたね。だから、震災はすごく悲しいものでしたけど、今ももちろん、問題は山積みですけど、今までとは違う何かを発見するきっかけにはなったかなと。
でもだんだん…私なんかもそうですけど、なるべく忘れたい…。なるべく忘れたいって気持ちが働いてたんですけど、ソチオリンピックで活躍した羽生結弦選手が、震災の事を今も口にしてらっしゃる。すごいなぁ!って思って。やっぱり、大人も逃げちゃダメなのかなってすごく思いましたね。
【取材後記】
プリマリアさんの工房は裏磐梯にあり、取材時は涼しくてとっても気持ちのいい風が吹いていました。こんなのどかな環境で作られるせっけんは、使う人のお肌はもちろん、心も癒してくれるんだろうなぁ…。
1番人気の「酒粕せっけん」を世界中に広めるのが夢という岡野さん。震災があり、原発事後があり、折しも「フクシマ」という地名が世界中に広まりました。この状況を逆手に取り、生まれ育った大好きな「福島」を、せっけんを通してもっと誇れる存在にして行きたいと話してくれました。