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ふくしまマイスター 第3回「張り子マイスター」

ふくしまマイスター

マイスター特集 第3回

「張り子マイスター」 橋本彰一(はしもとしょういち)さん

高柴デコ屋敷 本家大黒屋
21代目当主 橋本彰一さん

【実物大の白くまの張り子】
 全長:2m30cm
 幅:77cm
 高さ:1m10cm

【高柴デコ屋敷】
江戸時代、年号では元禄の頃より三春張子・三春駒作りの伝統を300年以上受け継ぐ、郡山市西田地区にある伝統工芸の里。

◆”もの作り”の家に生まれ『もの作りの道』へ

 生まれながらに周りの大人たちが張子や三春駒を製作している環境で育ったからなのか、小さい頃から“何かを作ったり”“絵を描くこと”には興味がありましたね。 その流れで大学も美術の道に進み、高校で美術教師をしていたんですが、 父の病気をきっかけに、実家の大黒屋に戻って家業を継ぐようになりました。

◆和紙という素材が生みだす『張子の可能性』

 『和紙そのものって“柔らかい”物なんですが、少し手を加えるだけで“ものすごく堅く”もなるんです』 実家に戻って修行を始めた頃は、伝統的な製作手順の効率の悪さに不満があったりもしたんですが、作業にも慣れて心に余裕が生まれてくると『和紙を使った張子という技法の可能性』に気づき、新しい張子作りに意欲が高まっていきました。

◆2011年3月11日『東日本大震災』発生!

 直接的な被害は少なかったんですが、原発事故による風評被害で観光客の方の数が激減し今後の見通しが全く立たなくなってしまいました。 このときは本当に困りましたね・・。

◆サッカー元日本代表『中田英寿』さんとの出会い

 そんな不安の中、サッカー元日本代表の中田英寿さんに声をかけて頂き『REVALUE NIPPON PROJECT』という『和紙』をテーマにしたプロジェクトで『実物大の白くまの張子』製作に参加させていただけるたようになったのが救いでした。 全長2m30cmという大きさもそうなんですが、毛並みを表現するのがとても難しくて苦労しました。でも、その製作に没頭することでいろんな不安を徐々に忘れていくことが出来ました。

◆未来へとつなぐ『伝統』

 ”もの作りの伝統”というのは、2つの面を持っていると思うんです。これまで長く受け継がれてきた『昔ながらの伝統』と新しい経験や発見から生まれる新しい伝統』。 今後も『昔ながらの伝統』を守りつつも、和紙や張子の可能性を発展させていく『新しい伝統』を追求し、次の世代へと受け継いでいきたいと思っています。

「三春張子」ができるまで。

01紙張り

油雑巾をかけた木型に、ぬれ和紙をちぎりながら強く押し付け、張り重ねる。

02乾燥

全体を糊で塗り固め乾燥。

03型抜き

乾燥した紙張りの木型に、切り出しで切り目を入れ、中の木型を取り出し、膠(にかわ)で切れ目を閉じる。

04胡粉塗り

絵付けの下地になる胡粉を膠で溶いたものを刷毛塗りし、表面が滑らかになるよう、何度も塗り重ねる。

05絵付け

顔料(絵の具)や染料(昔は草木など自然の染料を用いた)で、慎重に一つ一つ個性に応じた表情を絵付けし、木羽板の台に取り付けて仕上げる。

完成

今年の干支、午(うま)の張子
(縦11cm×横5cm×高10cm)

【取材後記】

 取材以前は『伝統工芸品』と聞くと、「決まった形以外は認めない」といった、伝統は変えてはならない、頑ななイメージが強かったです。

 ところが、大黒屋さんに入ると可愛らしい『うっかりネコ』や、8色のバリエーションと運勢『豆だるま』・干支の三春張子などなど。目にも鮮やかな数々の張子やデコ(木偶人形)が並んでいます。昔ながらの三春駒や腰高虎、三春張子の展示・製作も伝えつつ、新しい伝統づくり・より洗練された伝統への『工程の途中』を感じられました。

 日々変わっていくものばかりの日常から、守り・繋ぎ・続けてきた伝統を『自分の源流探し』に一歩、足を向けてはいかがでしょうか?

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